EDUCATION SEEDSEducation Seeds/教育学のタネ
🛏️ 意志の力より、環境の力?
2026.10.20

🌱 教育学のタネ
〜Heartの英語教育を、教育学でひもとく〜
🛏️ 意志の力より、環境の力?
〜ベッドが教えてくれた学習環境の大切さ〜
ふと、10代の頃の自分を思い出しました。
あの頃、私の部屋にはベッドがありました。
勉強を始めても、ちょっと眠くなると、
「あ〜眠たい。ちょっと寝よう!」
そして、そのままベッドへ。
ところが、60歳になった今の私は、朝起きたら夜寝るまで、ほとんどベッドに戻りません。
昔より意志が強くなったのでしょうか?
いえいえ、どうやら違うようです。
今は、仕事や勉強をする場所と寝室が別々なのです。
眠くなっても、すぐ横になれるベッドが目の前にない。
この小さな環境の違いが、行動を変えているのかもしれません。
🌱 人は意志だけで行動しているわけではない
教育心理学には、**自己調整学習(Self-Regulated Learning)**という考え方があります。
学習者が目標に向かって、自分の学習方法や行動、環境を調整しながら学ぶことです。
その方略の一つが、**環境設定(Environmental Structuring)**です。
例えば、勉強中はスマートフォンを遠ざけたり、集中できる場所を選んだりすること。
つまり、意志の力だけに頼らず、学びやすい環境をつくるのです。
私が10代の頃、すぐベッドに向かってしまったのも、意志が弱かったからとは限りません。
眠くなったら、すぐ横になれる環境だった。
ただ、それだけだったのかもしれないのです。
🌱 「勉強しなさい!」の前にできること
「うちの子、全然勉強しないんです」
そんなお話を保護者の方から伺うことがあります。
でも、子どものやる気を問題にする前に、学習環境を見直してみませんか?
例えば、小学生なら、子ども部屋ではなく、家族の気配があるリビングで勉強してみる。
大学生なら、カフェや図書館など、人の目がある場所の方が集中できるかもしれません。
もちろん、一人で静かに勉強する方が集中できる人もいます。
大切なのは、その子に合った環境を見つけること。
小さい頃は大人が環境を整え、成長するにつれて、自分で集中できる場所を選べるようになる。
それも、自立した学習者になるための大切な力です。
「勉強しなさい!」から「どこなら勉強しやすい?」へ。
そんな声かけに変えてみるのもいいですね。
🌱 Heartの教室でも同じこと
私たち教師も、子どもたちの集中力を本人の努力だけに任せてはいけないと思っています。
教材を出すタイミング、座席の配置、活動の切り替え方。
子どもたちが自然に英語を話したくなるような授業の流れ。
こうした環境を整えることも、教師の大切な仕事です。
「集中しなさい!」と言う前に、教師ができることはないだろうか。
私はいつも、そこを考えたいのです。
60歳になって気づいた、10代の自分との小さな違い。
ベッドが近くにあるか、ないか。
そんな何気ないことからも、教育について考えるヒントが見つかります。
子どもを変えようとする前に、子どもを取り巻く環境を見直してみる。
それもまた、教育の大切な役割ではないでしょうか。
すべては、子どもたちが幸せになるための教育学であり、実践です。 🩷
📚 今日の教育学のタネ
自己調整学習(Self-Regulated Learning)
学習者が目標に向かって、自分の学習過程を計画・観察・調整していくこと。
環境設定(Environmental Structuring)
自己調整学習で用いられる方略の一つ。
集中しやすい場所を選び、気が散るものを減らすなど、学習環境を整えること。
自己調整学習の代表的な研究者に、教育心理学者バリー・ジマーマン(Barry J. Zimmerman)がいます。
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