EDUCATION SEEDSEducation Seeds/教育学のタネ
🌱 子どもの「自分でできる」を奪っていませんか?
2026.10.19

🌱 教育学のタネ Vol.4
〜Heartの英語教育を、教育学でひもとく〜
🌱 子どもの「自分でできる」を奪っていませんか?
〜子どもはいつから自分で歩き始めるんだろう?〜
今朝、76歳の夫が健康診断から帰ってきて、こんな話をしてくれました。
「僕より若いおじいちゃんがいたんだけど、奥さんが何から何まで手伝っていて、大変そうだったよ」
毎日ジムに2時間通い、腹筋が6つに割れている夫は、そもそも自分をおじいちゃんだとは思っていません(笑)💪
もちろん、その男性には健康上の事情があったのかもしれません。
でも、この話から、私は子どもの教育について考え始めました。
人が自分で考え、選び、行動する力は、どのように育つのでしょうか。
🚁 9年前に書いたヘリコプターマザー
2017年、私は「Helicopter momってどんなママ?」というブログを書きました。
子どもの上空をヘリコプターのように旋回し、何かあるとすぐに降りてきて助けるお母さん。
過干渉・過保護な親を表すアメリカの俗語です。
あれから9年。
教育の現場で子どもたちを見てきて、私には二つの疑問があります。
親が先回りすることで、子どもの経験を奪っていないか。
そして、親がすべてを決めることで、子どもが自分で選ぶ機会まで奪っていないか。
📚 お母さんの英検? 自分の英検?
先日の英検では、「自分史ノート」を使い、70日間で84時間も自主学習した生徒がいました。
一方、小学校高学年になっても、お母さんが学習を進め、なかなか「自分の試験」になりきらないように見える生徒もいます。
さらに気になるのは、何を勉強するか、どの教材を使うか、いつ勉強するかまで、大人が決めてしまうケースです。
もちろん、子どもには適切な支援が必要です。
でも、親が用意した道を上手に歩けることと、自分で道を選んで歩けることは、同じでしょうか。
自分で考える。選ぶ。失敗する。やり直す。
その経験こそが、自立する力を育てるのではないでしょうか。
🔬 12万人以上を対象とした研究
実は、この問題に関連する興味深い研究があります。
2025年、心理学誌 American Psychologist に掲載されたメタ分析です。
238の研究データ、合計126,423人を対象に、親の関わり方と子どもの心理的な健康との関連を分析しました。
その結果、
🌱 子どもの意思や選択を尊重する親の関わり方は、子どもの心理的な幸福感と関連している。
🌱 子どもの気持ちを心理的にコントロールする親の関わり方は、心理的な不調と関連している。
ということが示されました。
もちろん、これだけで親の先回りが自立を妨げると断定できるわけではありません。
でも、子どもの意思を尊重することの大切さを、改めて考えさせられます。
🌿 手をかけることから、目をかけることへ
以前、母から教わった言葉をブログに書きました。
「“つ”のつくうち、九つまでは手をかけろ。“つ”が取れたら目をかけろ」
子どもの成長とともに、大人の役割も変わっていくのでしょう。
必要なことは教える。
困っていたら支える。
でも、できるようになったことは、少しずつ本人に任せていく。
Heartでも、何をどの順番で学ぶかというカリキュラムを用意しています。
けれど、それは子どもの代わりに勉強するためではありません。
いつか子ども自身が、自分で学びを進められるようになるためです。
子どもに何を与えるかを考えることも大切。
でも、いつか自分で選べるように育てることは、もっと大切なのかもしれません。
「今、この子を助けること」と「将来、この子が自分でできるようになること」。
私たち大人は、その両方を考えているでしょうか。
9年前のブログを思い出しながら、今日はそんな問いを投げかけてみたいと思います。🌱
すべては、子どもたちが幸せになるための教育学であり、実践です🩷
📚 今日の教育学のタネ
自己決定理論(Self-Determination Theory/SDT)
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンらが発展させた、人間の動機づけに関する理論。
人が主体的に行動するためには、「自律性(Autonomy)」「有能感(Competence)」「関係性(Relatedness)」という3つの基本的心理欲求が重要だと考えます。
参考研究
Bradshaw, E. L. ほか(2025)
Disentangling Autonomy-Supportive and Psychologically Controlling Parenting: A Meta-Analysis of Self-Determination Theory’s Dual Process Model Across Cultures.
American Psychologist, 80(6), 879–895.
https://doi.org/10.1037/amp0001389
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